B-Type Contents

■ JR東日本が全てICカード≦切符にしてはいけない理由 (2013.12.21.掲載) Tweet


ダイヤ改正日記の前に,ちょっと前の話題に触れておく.

どうやら,んなもんICカード≦切符であるのが普通だろボケ!という意見が根強い?ようなので
ココで私がJR東日本に代わってご説明いたします(ぉ

----------------

JR東日本が,今後連続する消費増税に簡略に対処するためと
消費増税分を正確に転嫁するため,ICカードに限って1円単位の運賃を検討したのが発端.

国交省は,消費増税による値上げによって増収にならないようにしろといいながら,
利用者の心情を勘案して「ICカード≦切符」になるようにしろという通達を出した.

----------------

鉄道会社は今回の消費増税でICカードでの利用料金を値下げするコトは絶対にない.
それをやると,今後普及率が上がるほど損をする仕組みになってしまう.

そもそも1円単位にする理由は「消費増税分を正確に転嫁するため」であるから,
これによって1円単位の方を値下げするというコトは絶対にない.
だったら10円単位で値下げすれば良い話.

ICカードに磁気カードのプレミアのようなサービスを期待するなら,
それはその鉄道でしか使えないポイントを付けるとか付帯サービスでないと割が合わない.
正規運賃の値下げとは話が違う.

従って,国交省が通達を出した「ICカード≦切符」を実現するには,
必然的に紙切符の方を値上げせざるを得ない.
実際に今回発表された,JRの電車特定区間と民鉄各社,バス会社はすべて
ICは四捨五入,IC外利用は端数切り上げで「ICカード≦切符」を達成している.

ただし国交省からは増収にならないようにしろという通達も出ているから,
各社は定期運賃を調節するコトで帳尻を合わせている.
(関東だけでなく,均一運賃を採用している市バスなどは全国的に同じやり方)

というワケで,わかりやすさを求めてICカードが全導入されている会社で
IC≦紙切符にするのはまだ分かる.値上げがイヤなら何とかICを使えと言える.

しかしICカード非導入地域を抱えるJR東日本がそれをやってはいけない.
ICカードが使えない人々にとっては,普通に出かける場合はただの値上げになるからだ.
そんなものは利用者の理解を得られないだろう.

「分かりやすい」というだけで「IC≦切符」を主張する人々は,
ICも使えない上に値上げさせられる地方の人間の気持ちが分かるのだろうか?

だったら,電特限定ではなく西瓜が使える区間だけ
「IC≦切符」にすればいいじゃないかという意見もある.
しかし西瓜区間の末端はどうなる?
今後西瓜区間が拡大したらそのたびにその範囲も変えるの?
そもそも今回広がる西瓜区間には西瓜が使えない駅が入っているからムリでしょ.
電特以上にある程度範囲を絞って‥と言っても,その境目は何を基準にするの?
結局,その範囲が現世において意味不明な電特にこだわる理由もよく分からない.

だいたい,そこまでして「IC≦切符」にして,誰が得をするの?という話.

ICは値上げでも値下げでもない以上,定期外利用で得をする人は誰もいない.
得をするのは定期利用者だけ.学生を持つ親や病院通いの老人は得かも知れない.
最大の得は定期代を払っている企業だろう.
しかし今回のネットの声がそれとは到底思えない.

----------------

JR東日本は電特以外で,10円以下の端数は四捨五入するコトで調節している.
全国的に関東各社以外も同様.

むしろ,関東でIC以外は軒並み値上げになっているのに,
文句を言う人が少ないのはなぜだろう?
それだけICカードが普及しているというコトか.
こういう情報に敏感な層はICカードくらい普通に使いこなすし,鈍感なら気にしないわな.

確かにICの方が絶対に安い!となれば分かりやすいけど,
そこまでして不公平にしていいの?というのが率直な感想.

結局,国交省が出した「ICカード≦切符」なんてのは東京の人間の発想.
この瞬間,オレは地方にしわ寄せが行くのではないかと懸念したけど,
JRがそれをしなかったのは評価したい.
まあ,おかげで余計ややこしくなったけどな.

B-Type Contents